テレビから伝えられている事

普段通りに,自分の仕事をするべきとは思いながら,直接被災地を助ける事ができないと感じることもあり,震災のニュースを見るのは,どうしても苦しい。

医師である知人が釜石に派遣されて活動してきた。そこで撮った写真を見た。
想像もできないようなところに大きな船があったり,激しい津波の破壊力を見せつける光景はあったが,被災地の生活の大変さを感じる写真は,避難所のトイレ前の張り紙だった。

トイレであるのに,水がでないからなのか,流せないからなのか,ウンチは新聞紙にして,ゴミ入れに入れてくださいと書いてあった。

テレビの報道で,こういう様子をはっきりと報道しているのを見た覚えが無かった。
震災の現場を伝えなければ,と言いつつも,テレビの前で普段の生活をしている視聴者の事を気にしているからなのだろうか。

水は十分に飲めるようになり,食べ物は食べられるようになっているかもしれない。
しかし,飲み食いすれば,排泄に行かなければならない。
そこで,毎日,そんな状況のトイレで用をすまさなければならないとしたら,そのストレスはどのくらい大きいか。家で家族だけが使っているトイレではなく,多くの人たちが共有するトイレのことである。

みんなが応援しているとか,日本は一つとか。そんな言葉を全く否定する気はないけれど,
みんなが知らなければならない事が,伝えられていないのではないか,と考えてしまう。